俳句

2009年6月14日 (日)

この時期、生き物の句が多い

 新聞の投稿句の話。冬は生物が見えない世界で殆ど生き物は題材とならない。春は当然に梅、花(桜)、続いて若葉、新緑となるは当然ながら、梅雨入りの今頃は、いきおい、生き物に目が向かうのか、生き物を題材とした句が増える。

 今日の毎日俳壇の4人の選者による48句の選句のうち、25%にあたる12句が生き物(動物)が題材となっている。やはり季節がめぐり、目に付きはじめた小動物たちへの優しいまなざしを感じるのでここに転記しておく。

雀らのうれしき声す麦の秋 (大谷 睦雄) 註:「麦の秋」は収穫期の麦で夏の季語
 飛魚(あご)とぶや長き渚の安房の国 (松島 大地)
 鉄塔に鴉のとまり麦の秋 (吉川 勉)
 縁側を歩くにわとり鯉幟 (尾崎 舜二)
 道に出て叱られている子猫かな (世古 幸久)
 脱げそうな牛の草鞋(わらじ)や賀茂祭 (丹羽 利一)
燕来る店を仕舞ひし本屋にも (杉浦 正章)
 雑魚を釣る吾に青鷺(さぎ)侍りゐる (森川 勧)
 (ちまき)買ふ店の鸚鵡(おうむ)に呼び込まれ (太田 順子)
 雨の日は庭の小鳥の巣を思ふ (枝沢 聖文)
 ででむしや雨に向けたる角の先 (塩野谷 慎吾) 註:ででむしはカタツムリのこと
 老鶯の鳴きつぎ赤子寝息立て (岩田 まさこ) 鶯はウグイス。ここはオウとよむか
 ◎印は特選句4句のうちの2句です。

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2009年6月 2日 (火)

難しい「俳句の切れ」

 目下俳句の勉強中。俳句とは ①5音、7音、5音からなる17音字の短詩 ②季語が必ず入ること ③切れ字或いは切れが必要。というかこれだけ揃えば上手下手は別にして俳句と教わっている。

 ところが何時までたっても、この「切れ」が分からない。名詞や動詞の上の修飾語が連用形、連体形であれば続いた言葉で「切れ」ていないから駄目といわれても判然としない。

 下記の句は今週の毎日俳壇の選句の中から拾い上げたものであるが、これらは全て切れ字がない様に思える。即ち題材の説明文になっていると感じるが如何なものか。尚、例句とした方、並びに選者に失礼と思うので作句者氏名は省いています、乞ご了承。
 真白なる光背光る水芭蕉 (水芭蕉の説明文)
 満開の花のしづもる夜の公園 (夜の公園の説明文)
 見の限り続く近江の植田かな (植田の状況説明文)
 最果ての小さき旅籠(はたご)の木の芽和 (木の芽和の説明文)
 小雨降る浅井の荘の田植えかな (田植えの場所と天候説明文)
 燕来る父の生家の深庇 (深庇の説明文) 
勿論ほんの一字、連用形、連体形、接続詞を変えればはっきり「切れ」となると思いますが・・・。

 尚選者が「特選句」として選ばれた次ぎの四句ははっきり切れていますのでその部分を1字分空けて掲載しておきます。
堀口 星眠 選 「煙より男出てくる 野焼かな」上田 善朗)
西村 和子 選 「願わくは天空海闊 鯉幟」吉田 家英)
大峯 あきら 選 「白牡丹 祇王寺近き岐(わか)れ道」数藤 茂)
鷹羽 狩行 選 「兜煮となり 貫禄のさくら鯛」小川 弥生)

 

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2009年5月10日 (日)

句をよむ:桜(花)の句、秀句

 タイトルの「句をよむ」は読む(鑑賞)と詠む(句作)を兼ねています。鑑賞や俳句の話ばかりでなく、時には小生の駄作を臆面もなく記載する予定である。ご批評、ご指導を乞う。

桜(花)の句Ⅱ
 前回に続き、今週も毎日俳壇に掲載された桜の句を選出した。流石に、時期経過で「落花」の言葉が増えてきた。(毎日俳壇:一般の投句を4人の俳人が選句・掲載)

朝桜早出の足を緩めけり(小林紀彦)。 キャンバスに離合集散飛花落花(岩見尚夫)
川と川音なく出会ふ落花かな(山川輝雄)。 浮かぬ顔一つ混じりし花筵(北埜裕巳)
桜咲く顔にふるるあたりより(石田伸子)。  提灯の連なりて花待つばかり(矢端桃園)
学校の演習林の残花かな(六本木義人)。 中庭の井戸は使わず八重桜(鈴木一郎)
伊賀と伊勢分かつ峠の大桜(青山勇二)。  正座して横座りして花筵(梶原かつを)
船窓に貼り付いてゐる落花かな(首藤勝二)。

勝手に選んだ秀句(私が投稿句の中から自分の好みで選んだ句)
四阿(あづまや)にひねもす降りぬ春の雨(久野茂樹)
 菜種梅雨の頃のことか。四阿とは東国風のひなびた家。或いは壁がなく柱だけの建物で屋根を四方に葺き降ろした庭園などの休憩所のことも言うがここでは前者か。

薬師寺の塔は二つや青嵐(木津和典)
 典型的な写生句。初心者には写生句を薦められる。青嵐は青葉を吹き渡る風のこと。
すっきりした気持ちのいい句である。

また次の囀りに入る七曲り(田中翔子)
 七曲はジグザグに上る峠であろう。登ってってゆくに従い、小鳥の囀りが違って来るのか。

囀りや樟の大樹は空塞ぎ(北野恵美子)
 今は樟が若葉を出して花が咲き茂りだした頃である。密に茂るので、空も見通せないほどとなる。きれいな若葉をつい見上げる頃で、当然5月の空を見上げるが空は見えないという。

 最後に小生の今日の習作を一句
飛行雲空きり裂きて若葉萌ゆ         
 5月の紺碧の空を真っ白な飛行雲が一直線に伸びてゆく。まるで、空を真っ二つに断ち切るように。目を落とすと若緑がそよ風に揺れていた。
 修正句:若葉萌え空ひき裂きし飛行雲  とした。

 

   

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2009年5月 4日 (月)

桜(花)の句

Photo  桜は今青森、函館が満開とか、GWによく札幌に出かけたが、札幌は今頃が咲き始めで、これから「蝦夷ザクラ」(山桜に少し似て、やや薄茶の葉が出るが花は大きくきれいだ)が咲き始める。
 何故今頃桜か。今日は俳句に関して記載するためである。新聞の投稿句を紹介しようとして今まで待っていたので、季節外れに近い時期となった訳だ。

 只今俳句の勉強中で余り詳しくないが『桜』の花ほどきれいで、儚いものは無い。多分沢山の俳句があるだろうと思っていたが、桜を直接詠ったものは数少ない。 何故なのか。私の個人的な見解だが、桜はきれいだ。桜に対する思いも殆ど同じだ、だから、俳句にするには『桜』或いは『花』一字で桜のことは全部終わりである。よって、桜の季節として、季語に使われることは多くても、花そのものを主題にしたのは面白くないのか。或いは難しいのかと思う。

  前書きが長くなったが、前々週と前週の毎日俳壇に一般投稿者から選句された中で『桜』を入れた句を紹介すると、
前々週:(4月25日)
添え木より低き若木の初ざくら(松島照子)。みちのくの奥ほど濃くて山桜(柴山芳隆)
上手く年とるも一芸花の宴(首藤鞠子)。夜桜や学びの庭のしづもりて(枝沢聖文)
ここからは胸突き八丁山桜(石田武美)。昼の月ある花陰に鍬あらふ(矢野久造)
前週:(5月3日)
桜蘂(しべ)降りて急がせる老いの坂(松山蕗州)。坊守にとめどなく散る桜かな(松島大地)
花吹雪別ればかりを重ねきし(坪内勉)。 花びらの語るがごとく散りにけり(近藤康紀)
日曜の時を止めたる桜かな(海老原順子)。空の青残りてゐたる夕桜(渡部弘道)
夜に入りて風の荒める花の雨(吉川勉)。 自転車を押して坂道花の下(枝沢聖文)
一年は短し花の下に逢ひ(坂元二男)。 止まらんとしては流るる花筏(吉岡喜一郎)
以上毎週40句ほど選句された中の桜を詠んだものです。意外に少ないと思います。

 因みに、桜を詠った有名句を紹介しておく。
山又山 山桜又山桜 (阿波野青畝)
空をゆく 一かたまりの 花吹雪 (高野素十)
ちるさくら 海あおければ 海へちる (高屋窓秋)
花筏 やぶって 鳰(にお)の 顔のぞく (飴山實)
一片の落花のあとの夕桜 (深見けん二)  などがある。

 毎日俳壇の選句記載は新聞社の了解を得ています。尚、写真は福岡城内の桜。
又、小生のホームページ(http://hihabe.com)の「俳句を楽しもう」は夏季号に更新しております。一度ご訪問下さい。
 

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